Envirome (環境因子)

Envirome (環境因子)

弊社は以下の3つをミッションとしています。
1.Envirome (環境因子) という考え方を広めるということ
2.Genome (遺伝子)と Envirome (環境因子)の関係を情報学的にもシステマティックかつスムーズな理解を進めること
3.生命を取り巻く情報の全体整理・理解(シミュレーション)を促進し医療を含むあらゆるライフサイエンスおよびソーシャルサイエンスに寄与すること (鳥瞰と時系列理解)

Enviromeとは

まず、Enviromeという言葉はあまり聴きなじみが無い言葉かもしれませんので、それについて以下に説明を致します。
Enviromeとは環境因子の総体であり、Genome (遺伝子) に働きかけて、今の生体の状態即ちPhenome (表現形質)を作り上げるものと定義されています。
Enviromeには、以下にあげるものが含まれています。(人間の場合)

文化的要因(食生活、ライフサイクル、音楽、伝統知識(医療等)、宗教、等々)
物質的要因(薬、食、ミネラル、大気構成物質、水、ウィルス、等々)
空間的・力学的要因(光:宇宙光線や紫外線、微量放射線、重力、大気圧、湿気、天候、等々)

Enviromeの重要な因子

Envirome(エンヴィローム:環境因子)を考察するに当たってわたしたちは以下の2つの重要な因子をテーマとしています。

1.時間 (Time), 空間 (Space), 力 (Force), <情報 (information), 関係性 (Relationship)> : Enviromeを構成する因子
2. 和 (Meditation, Harmony) , 進化 (Evolution) : 進化と調和

少し分かりずらいかも知れませんが、これらのコンセプトは、以下の背景を鑑みるとより理解を深めることが出来ると思います。

Enviromeを理解するために

Enviromeを考察するに当たり、まったく同じ遺伝子を持つ双子の例をまず取り上げます。
双子は例え同じ遺伝子を持って居ても育った環境により個性や見た目が変わってきます。

どの生物でもこれは言えますが、特に人間の様な進化を重ねてきた生物は育った環境(家庭環境、教育、食べたもの、すってきた空気、運動の有無等々)の影響がとても大きく、例え遺伝子という身体の設計図が同じであっても違う形質を取っていきます。
即ち、Envirome (環境(因)子)とは、私達人間の様な生き物にとって、
設計図であるGenome (遺伝(因)子)に働きかけ、Phenome (発現系(つまり現在の生体状態))を作り出すものして先ほどの定義を言い換えることも出来ます。

Enviromeの構成要素

Envirome (環境(因)子)を物理的要因に大別すると、Time (時間) 、Space (空間)、 Force (力)、及びそれらのRelationships (関連性(相関))、Information (情報) 等(一部共通要素も含まれまた他にも見つかって無い因子があるかもしれません)に属するステータスによって、物質である生体に働きかけを行っていることが分かってきます。
例えば、生まれたばかりの赤ちゃんは生きていくのに適切な栄養さえ提供されれば、Genome (遺伝(因)子)により決定されるものが殆どですが、いったん生まれ出でて成長しはじめた生体はEnvirome (環境(因)子)により大幅に刻々と変化を遂げていきます。

物質システムとしての生物

このように生物という物理的作用を受ける物質によりシステム的構造をかたち作っている、私達人間において、
Genomeは先天的にEnviromeは後天的に形作るものです。

つまり、
Genome (遺伝子) + Envirome (環境(因)子) = Phenome (発現系)

というシンプルな基本式を作ることが可能です。
(実際はVirusや紫外線の様にEnviromeが直接遺伝子を変化させてしまう例もあり、もう少しこの式は複雑です。)

進化と物質としての生物 (物質の複雑系システム進化)

近年、生物の進化はDNAシーケンシング技術、解析技術などの発達により、ミトコンドリアDNAの配列の違いに代表される分子の違いを解析することにより序々に解明されてきました。私達人間の身体のなかでエネルギー産生を担っているミトコンドリアDNAにもその進化の系譜は刻まれていますが、ヒトの生物学上の分類でもこの弛みない進化の流れを読み取ることが出来ます。つまり、生物というシステム化された物質は時間と共に成長し、未来へ向かい進化しつづけているという事を見てとる事が出来ます。

Enviromeはひとつの「物理的性質を持つ物質という観点」から生物を見ることで、複雑系システムを構築している私達の身体をより深く理解する為の学問であると考えています。
人ははるか太古に誕生した微生物から小さな進化を積み重ね、現在のわれわれ人間( Homo. sapiens)として形成されるまでにダイナ

ミックな進化を遂げてきました。

更に今、ヒトは物質の枠組みを超えて進化をし続けています。言葉、文字や音楽などの情報は人間の生命活動に影響を与える大きな力さえ持っています。

Homo. Sapiensの生物学上の分類

Homo Sapiens (brain)

界 : 動物界 Animalia
門 : 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱 : 哺乳綱 Mammalia
目 : 霊長目 Primate

亜目 : 真猿亜目 Haplorhini
下目 : 狭鼻下目 Catarrhini
上科 : ヒト上科 Hominoidea
科 : ヒト科 Hominidae
属 : ヒト属 Homo
種 : H. sapiens
亜種 : H. s. sapiens

界から始まり亜種で終わる分類はまさに進化の系譜を示していることをご理解いただけたでしょうか?

生命を時間の流れの中でシステマティックに進化を遂げた物質です。
わたしたちは「Genome」に何が働きかけ、たんぱく質を組み上げ最終的に生体を作り出すのかについて非常に興味を持っていました。
そして、その働きかけるものを「Envirome」と定義し、さまざまな角度から研究を重ねてきました。

この「Envirome」というテーマに興味を持った理由は、生命の設計図Genomeだけで、生体が成り立つわけではなく、必ず生命を生命システムとして組み上げる「過程」にこそ、生命システムの複雑さの理解に繋がると考えたからです。
2001年には精神医学の分野で、Enviromeという言葉が限定的に利用されはじめました。しかし、そこには分子や因子という考えは薄いものでした。
更に、2001年以降分子生物学、疫学、情報学などが急速に進歩するに従い、Enviromeの構成因子は、「過程」に存在する、「力」、「空間(構造)」、「時間」、そしてその「関係性」や「情報」の因子を本質として考える事が出来ると分かってきました。

2011年現在、Genome研究に続く、*Epigenomics, *Proteomics, *Intaractomics等のOmics研究が急速に進歩しつつあり、生命がシステムとして働く過程が紐解かれ始めて居ます。
私はこれらの包括的な理解が10年後-20年後には物質システムとしての理解、癌やリウマチ、糖尿病などの生活習慣や様々な解明困難な難治性疾患の理解に繋がると確信しています。

*Epigenomics:DNAメチル化等による生後の染色体機能変化(Epigenome)等を因子として網羅的に解析する学問
*Proteomics:タンパク質等による生体の機能変化(Proteome)等を因子として網羅的に解析する学問
*Intaractomics:生体内分子間の相互作用を(Intaractome)等を因子として網羅的に解析する学問

Envirome Academic References:
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